音MAD作者のためのVST講座 Reverb編

こんにちは。まいまいです。ある程度音を作り込む音MAD作者であれば必須ツールである、VSTのReverbについて詳しめに解説していきます。

当記事はDTMerさん向けの記事ではありませんので。あしからず。


目次


リバーブとは何か

まず第一に、リバーブについて簡単に触れておきます。

リバーブとは、音に残響などの音の広がりを与える効果のことです。

通常の楽器の場合、楽器から直接届く音の他に、壁や床に反射した音も耳に届きます。その反射した音をシミュレートしたりするのがリバーブです。

楽器そのものの音(音MADの場合は素材の音ですが)に残響を加えることで聞き心地が良くなります。(なんともふわふわした表現ですが)

一応聴き比べられるように音を用意しました。

前 リバーブ有り 後 リバーブ無し

リバーブを掛けた状態からオフにすると違いがよくわかります。

リバーブの種類については後述します。

おすすめのVST

有名なリバーブのVSTとしては、valhallaっていう有料のが有るのですが、それは置いといてフリーのをいくつか紹介します。

2年ほど前に行った音MAD作者が選ぶ!人気VST番付!!で音MAD作者に人気だったリバーブを3つ紹介します。

(VSTの追加方法までは説明しないけど良いよね?)

  • KarmaFX Reverb

https://karmafx.net/products#pluginpack からダウンロード出来ます。

プリセットが多めで音MAD作者に人気です。

  • Glace Verb

第一配布元が消えてるのでVST4FREEからどうぞ。

http://www.vst4free.com/free_vst.php?id=458

  • SH-1 Reverb

ちょっと軽め。らしい。

リバーブVSTは他にも色々有るので、試してみるのも良いかもね。

リバーブの掛け方

さて、この記事の本題に入りますよ。

リバーブの掛け方には2種類あります。

一つは、エフェクトを掛けたいトラックに直接リバーブを掛ける方法(Insert)。

もう一つはセンドトラックに送ってそのトラックにエフェクトを掛ける方法(Send)です。

センドトラックを使う方法をおすすめします。

トラックに直接エフェクトを掛ける方法は簡単です。

他のVSTを掛けるようにトラックに適用します。

プラグインを選択するときに「プロセルモード->埋め込みUI」を選択すると複数ウィンドウにならないので便利です。

プリセットは丸で囲ったとこで選択します。

とりあえず色々聴き比べて気に入ったものを使いましょう。

パラメータの設定やプリセットの種類については後述します。

続いて、センドトラックに送ってそのトラックにエフェクトを掛ける方法について解説します。

そもそもセンドトラックとは何か。

通常のトラックの場合、そのトラックの音声はマスタートラックに送られます。そしてマスタートラックでは各トラックから送られた音声をまとめます。

センドトラックを使った場合、素材を置いたトラックからマスタートラックに音声を送るのに加えて、音声を一旦センドトラックに送り、センドトラックで加工した後にマスタートラックに音声を送る、という事ができます。

このセンドトラックにリバーブエフェクトを掛けるわけです。

もともとの音声と、リバーブエフェクトで作った音響とを別々のトラックから送るので、もともとの音声がぼやけにくい、リバーブのみに効果を加えることが出来る、などのメリットがあります。

(注:Insertした場合でもリバーブのみに効果を加える方法はありますが、簡単のため触れません。)

実際にセンドトラックを使う方法を解説します。

まず、素材を置いたトラックと空のトラックを用意します。

次に素材を置いたトラックの

このROUTINGをクリックします。(REAPERではSendといくつかの機能をまとめて「ルーティング」として操作します)

「センドを追加…」から先程用意した空のトラックを選択します。

これで、素材を置いたトラックからセンドトラックに音声が送られるようになりました。

設定が出来ると送る側のトラックに「S」の印が、受け取る側のトラックに「R」の印が付きます。

続いてセンドトラックにリバーブを掛けます。

掛け方自体は先程のInsertの場合と同じですが、センドトラックで掛ける場合、注意する点があります。

例として先程あげたKarmaFXReverbで説明しますが、

設定パラメータの中に「DRY」と「WET」があります。大抵のリバーブにはこの設定項目があります。

それぞれの項目の意味は、

DRY → エフェクトを掛ける前の音声の音量

WET → エフェクトを掛けた後の音声の音量

です。エフェクトだけを掛けるためにセンドトラックに送っているのに、エフェクトを掛ける前の音声が含まれていては元も子もありません。

DRYを最小にしておきましょう。

音量を適当に設定したら完了です。(どのくらいリバーブを掛ければいいの?で後述します)

リバーブの種類

リバーブにはいくつかの種類があり、その中でも特に使いそうなやつを特性とともに説明します。

  • Room Reverb

中くらいから大型の部屋の中で演奏した場合の残響をシミュレートした音になります。

個々のパートに適用するのが良さそう?

  • Plate Reverb

音で金属板?を揺らして残響を生じさせるらしいです。よくわからないな…

  • Hall Reverb

大きなコンサートホールのような場所での残響をシミュレートした音になります。

複数パートをまとめたところに掛けると良い、らしい。

リバーブの種類についてはこちらのサイトが詳しいので詳しく知りたい人は参照してください。

どのくらいリバーブを掛ければいいの?

さて、実際にリバーブを掛ける方法を紹介しましたが、どのくらいリバーブを掛ければ良いのか、たくさん掛けすぎると風呂の中のように籠もった音になってしまうので掛けすぎには注意が必要です。

センドトラックでエフェクトを掛ける場合、音量は-10dB程度まで下げると良い、という話を聞いたことがあります。

個人的な経験と感覚から言いますと、リバーブは「エフェクトを切って初めてリバーブの存在を意識する」程度の掛け方、言い換えると、「あぁこれはリバーブの音だ。」とわかるようならリバーブを掛けすぎだ、というくらいの掛け方が良いと思っています。わかりにくいかなぁ…

つまり、リバーブの掛けすぎには注意!ってことです。

VSTのパラメータの弄り方

プリセット使え!プリセット!何のためにプリセット用意されてると思ってんだ!

リバーブの基本的なパラメータを解説します。プリセットをそのまま使う素直な人は読み飛ばしてください。

VSTによってはパラメータが有ったり無かったりします。

  • Size/Room Size

音を演奏する空間の大きさ/広さを設定します。大きいほど、残響の時間が長くなります。

  • Decay

残響が消えるまでの時間を設定します

  • Pre-Delay

音がなってから残響がなり始めるまでの時間を設定します。

  • Mix/Dry,Wet

先程述べた通り。

他にもHighPass/LowPass(高い音/低い音をカットする)などが設定できるものもあります。

重要なポイント、豆知識、小技等

いくつか役に立ちそうな情報を記しておきます。

センドトラックにEQを掛けることで、特定音域のみにリバーブを掛ける

文字通り。

センドトラックでリバーブの前にEQを掛けることで、特定音域のみにリバーブを掛けることが出来ます。

一般的に、リバーブは低音域が強調され、モコモコした音(よく使われるがイマイチパッとしない表現だ)になることが多いです。

そのため、センドトラックにEQを掛け、低音域を少なめ(あるいはバッサリとカット)して、それを防ぐことが出来ます。

「このパートに沢山のリバーブを掛けたい」というときにも、低音域をカットしてリバーブを掛けることでいい感じにリバーブがかかることもあります。

ベースやキックドラムにはリバーブを掛けない(あるいはほとんど掛けない)

理由は先程と同じ。低音域にリバーブを掛けると音が籠もり、モコモコした音になる。

センドトラックは複数のトラックで共用して構わない

センドトラックはリバーブを掛けたいトラック全てに一つ一つ掛ける必要は必ずしもありません。

(無論、別の種類のリバーブを掛けたい場合は別トラックにする必要がありますが)

複数トラックから一つのセンドトラックに音声を送ることで、リバーブのVSTを掛けるトラックの数が減り、CPUの使用率が下がる(軽くなる)効果があります。

下の画像は複数トラックから音声を受け取ったセンドトラックの様子。

ちなみに、この画面からセンドトラックに送る音声の音量を調整することが出来ます。

このトラックには多めに、このトラックには少なめにリバーブを掛けたい、といったときに便利です。


以上。オシマイ。

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