RealSample編集後記 by まいまい
皆さんごきげんよう、まいまいです。この記事では、2025/07/19に幡ヶ谷ForestLimitで開催された、YTPMVに特化した音MADイベント「RealSample 」に参加したので、イベントの一連の流れと、自分が寄稿した動画について語っていきます。
イベント開催までの時系列と、動画内の各要素解説の2セクションに分けて語っていきます。
目次
イベント開催までの軌跡
私はあくまで一参加者ですので、運営とはまた異なった視点、参加者視点の話になります。
私に声が掛かったのが1月中旬ごろ、DMに連絡が入りました。
この度、捻挫さんが主催している「YTPMVを流すイベント(仮)」にお力添え頂きたくご連絡差し上げました。
本企画は、YTPMVに特化したnerdtronicsやotogrooveライクなリアルイベントです。音MAD-mix及び新作YTPMVの上映を計画しております。
つきましては[まいまい]さんには、イベントで上映する新作YTPMVの制作をお願いしたいと考えております。
とのこと。一も二もなく快諾しました。
音MADリアルイベントでは、どうしてもYTPMVは主役になることが少なく、精々動画間の場をつなぐ程度の扱われ方しか(当時は)されていなかったのが残念で、このようなYTPMV特化のリアルイベントが開催されるということは、非常に嬉しいことだったのを覚えています。
(まぁ音MADリアルイベントの客層のニーズと場の盛り上がりを考えると、冷遇されるのもやむなし、と言った感じではあるのですが…)
当時の自分はYTPMVへのモチベーションが下がり気味な状態でしたが、リアルイベントに自分を呼んでもらえた、ということで一気にやる気が燃え上がりましたね。

こんな事を言っていた。
企画参加の段階で決めていたこと
さて、企画に参加して自分はどんな動画を作るか決めるわけですが、一番最初の時点で2つ決めていたことがありました
一つは、例年投稿している**( ‘ω’o[動画タイトル]o**のシリーズと踏襲して、アニソンボカロ系曲に数多の人力ボカロを合わせ、私的素材で作る、ということ。自分が呼ばれたということは、人力歌唱YTPMVが求められているという事だ、と解釈してそう決めました。
ちょうどイベントが7月頃と聞いていたので、6月末の**( ‘ω’o[ ]o**シリーズの投稿タイミングを遅らせ、イベント用動画として作成すればいいじゃん、という考えも有った。
二つ目は、せっかくのリアルイベントだから、リアルでしか出来ない表現を取り入れたい、というものでした。”リアルイベント用の動画”は、その動画が流れるのがリアルイベントである必要がある物にすべきだ、という思想に基づいたアイデアでした。
このアイデアがどう実行されたのかは、動画を見てもらえれば一目瞭然でしょう。
選曲について
さて、最終的には自分は黒塗り世界宛て書簡を原曲に決めたわけですが、選曲に至った理由には明確なものがありました。
まず、黒塗り世界宛て書簡はBCC: ███世界を始めとして高クオリティな動画が勢揃いしている(低クオリティの動画も勢揃い)為、普通に作っただけでは動画が埋もれてしまいます。
しかし、いつかは黒塗り世界宛て書簡で作りたい、という欲求がずっと有ったわけです。大好きな曲なので。
まさにこのイベントは、ずっと作りたかった曲で作る絶好のチャンスだったのです。
ただし、テンプレに沿っただけの動画を作るのではイベントに提出する動画としては明らかに足りません。革新的な表現・目新しいアイデア無しにはこの曲で作るべきではなく、難しい挑戦になることは明らかでした。だがそれでも作りたかったので、作ることとした。
作曲者やYTPMVでの流行を作った人が要るイベントでよくこの曲掻っ攫って行くよな、とは言わないこと。
作成開始 遅々として進まない進捗
例年そうですが、自分はまず人力ボーカロイドパートから作成していきます。普段使っているキャラクタや、初めて使うキャラクタを織り交ぜ、選んでいきました。

だいたい4月末まで人力だけに取り掛かっていたようですね。進捗が遅すぎる。
そして5月いっぱい掛けて音声を概ね作り上げる、と。
6月末が提出期限(仮)なのにも関わらず、6月中旬に動画を作り始め、完成したのがイベント2日前の7/17でした。(←!?)
かなり早い段階で完成するのが期限ギリギリになるのが分かっていたので、運営側には作業進捗と工程表をこまめに提出し、極力負担が小さくなるようには心がけました。まぁそんな心掛けが云々言うくらいなら、早く提出しなさい、という話ですが。

動画を細かいパートに分け、この日にこの部分を完成させる、という宣言をすることで進捗管理と納品時期を明確化。
動画内の細かい要素は次セクションで話すので、ここでの話は薄味になってしまいますね…。
イベント当日
阿保草と合流し、軽く飯を食べてからイベント会場に向かいました。

(付近のきったねぇ公園に居たなあり(偽物))
会場入って最初に思ったのが、”なんか運営・参加者の人数多くね”でした。会場に来る人数は最初から分かっていましたが、実際に会場に行くと気圧される。

事前の音出し確認などの準備が進む中、自分はふらふら歩き回って、イベント楽しみだな~とか考えていました。

RealSample目線メガネもあります。
当日の自分の手番が、新作YTPMV枠では一番最初だったので、スクリーン横に待機して酒を飲みながらその時を待っていました。

そして自分の手番。
捻挫に手伝ってもらい、持ち込んだ液晶モニターを組み合わせて演出を行いました。
反応が欲しいシーンで歓声が上がり、動画作者としては実に嬉しい限りでした。
顔を隠した不審者ムーブをしながらの登壇だったので、ドン引きされていそうですが…。(笑)

最初は動物の被り物でもして顔を隠そうかと思っていましたが、フロクロさんと被るので断念。適当に買ってきたサンバイザーとフェイスマスクで人相を隠しました。写真撮る側も、演者が前に居たら写真取っていいか迷うだろうからね。
自分の手番さえ終わってしまえば、あとは楽しい観客として過ごす時間の始まりです。皆さんすごい動画揃いで一視聴者として楽しめました。
イベント後は二次会。れでぃばさんやowataxさんを始め、色んな方々と話をすることができ、いい経験でした。実に楽しかった。
そんなこんなでイベントも無事終わり。一年の半分を掛けた活動でしたが、終わってみれば一瞬でしたね。自分の納得がいく物が作れ、満足です。

イベントの記念としてポスターを刷ってもらったので、額装して飾っておきます。
動画に仕込んだ各要素について
ボーカルの選定について
人力ボーカロイドパートで使うキャラクタは、極力歌詞と有ったキャラクタを選択しました。
歌詞 | ボーカル | 選定理由 |
---|---|---|
そしてクオリアを~ | ムラサメ(千恋万花) | ゲーム本編参照 |
451度じゃ~ | ダリアン(ダンタリアンの書架) | 451度は紙の発火温度であり焚書を想起させる歌詞なので、本と焚書に縁のあるダリアンを起用 |
█かれた~██の詩 | 沙耶(沙耶の唄) | 単に言葉遊び。 |
██った█れ者が~ | 重音テト(UTAU版) | █れ者を痴れ者と解釈し、「キミは実に馬鹿だな」と掛けた。 |
█んでも█んでも~ | 胡桃(原神) | 若干こじつけ感が有る。 |
~黒塗りのラブレター | MAYU(VOCALOID) | ラブレターが似合いそうなので |
他のキャラクタはお気に入りのキャラを採用した。
また、現地会場では液晶モニターを持ち込み、各歌詞がどのキャラで歌唱しているのか分かるようにした。
これがイベント会場でのリアルタイム演出に用いた動画。REAPERの動画再生機能を使い手動でタイミングを合わせました。
ボーカルの間に挟んだ台詞素材について
これは自分が黒塗り世界あて書簡を作るときは絶対やりたいと思っていた演出だった。歌詞と関連した台詞を挟むアイデア。結構フザケてる。
直前の歌詞 | 台詞 | コメント |
---|---|---|
█の盃を煽ったほうがマシ | 「ごくごく、ぷはーっ!おかわり!」(プリコネ幼児プレイのユニ先輩) | 毒の盃をおかわりしたら面白い。 |
███として蘇り | 「めぐねぇ、おはよう」(がっこうぐらし) | ███(ゾンビ)に話しかけている。 |
夜をくべる | 「沈むように解けていくように」(夜に駆ける – YOASOBI) | 言葉遊び |
輝きを見たくて | 「見てみて」(らき☆すた) | |
言葉取り戻すため | 「返せー!」(じょしらく) | 言葉を取り戻したくて叫んでいる。 |
地球初4時のニュース | 「臨時ニュースを申し上げます」(チャー研) | |
脳の寄生を今祓う | 「褒めてよさとし君!」(ひぐらしのなく頃に) | 雛見沢症候群は脳への寄生虫が原因の疾患である、という設定から。 |
死後二週間~目を覚まし | 「けいいちくん、おはよう」(黄昏乙女×アムネジア) | 原作本編参照 |
黒塗りされた歌詞に仕込んだ要素について
動画を見てもらえれば分かるが、原曲PV歌詞の黒塗り部分にいくつか素材がうっすら映り込んでいる。これは「リアルイベントで現地会場限定の要素を作ったけど現地に行けない人だけが楽しめる要素が有っても良い」という考えのもと入れた要素でした。
ここもだいぶフザケている。
歌詞 | 素材 | コメント |
---|---|---|
██████も言えない~ | 「わかんない わかんないよ!」(異能バトルは日常系のなかで) | 言いたいことも言えない→言わなきゃ分からない。 |
█の盃を | 「これ毒です」(薬屋のひとりごと) | |
███として蘇り | これはゾンビですか? | |
█後2週間 | 4と鳴く犬 | 4後2週間 |
███かけた | アンナ(プリコネ) | 「腐り」と「鎖」を掛けている、(アンナの衣装には鎖がある) |
█ぬも | 「死ねぇ!」(チャン・ドンゴン) | 死ぬも |
█むも | 緑膿菌(はたらく細胞) | 膿む |
█いも | 「だいっきらいだ!」(ヒトラー) | 嫌いも |
█くも | めんま(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。) | 逝くも |
█違いの | 泉研(チャー研) | 気違いの |
█の詩 | 沙耶の唄 | |
██に | 「神ぃ!?」(ドナルド) | 神に |
█き | あの曲を家族でも聴けるようにしてみた『YAKI&肉 』/焼き肉だいすきファミリーソング | 焼き |
]█され | 夜神月 | 殺され |
█った | 金八先生体罰集 | 腐った(腐ったミカン) |
█った | 所長(パプリカ) | 狂った |
█れ者が | you are an idiot | 痴れ者(idiot) |
█してく | イカ娘 | いかしてく |
█以外 | キミが死ぬまで恋をしたい | 君以外 |
█溜めで | ひぐらしのなく頃にで古手梨花が肥溜めに落ちて死ぬシーン | これをやるためにやった。 |
█も | 君のことが好きで~略 | 好きも |
█も | サマーウォーズ | 恋も→こいこい←これなに |
█も | フェミニストのキズナアイ | 愛も |
動画内各パートについて
1.イントロ


一番最初の実写シーンでジャブを撃ちつつも、一発で黒塗り世界あて書簡だと分かるようにした。何事も掴みが大切なので。
なので動画も完全にBCC:███をリスペクトしている。
ちなみに、主旋律のキルミーベイベーの素材は一拍ごとに1話→2話→…→OVA→1話と素材が切り替わっている。
2.そしてクオリアを~ 手書きトレスシーン

YTPMVで手描きトレス素材が入ってると嬉しくなるので、それだけで構成されるシーンを作ってみた。
素材 | トレス元 |
---|---|
ナナチ(メイドインアビス) | Anthro Sounds |
桜Trick | 日常(シャケだー!) |
ハーピィ(魔王城でおやすみ) | 百地たまて(スロウスタート・んぇ~っとですね、たまてって名前は玉手箱が由来でして) |
よふかしのうた | キルミーベイベー 目をそらすやすな |
エンゼル体操 | Bad Apple!! feat.nomicoのつもり |
ひきこまり吸血鬼の悶々 | ゆるゆり アッカリーン |
ユカリ(プリコネ) | SUSHI食べたい |
メスケモになった春日部つむぎ | うぽって ジュースを持ってくるFNC |
ハッピー内蔵ケーキ | ゆゆ式 デッサン人形を壊したシーン |
3.451度じゃ~

特になし
4.星空の見えない~




このシーンは素材が画面内をあちこち移動する構成を用いた。これは「らくらく安楽死」の動画を作った時にぐるっと素材が動くシーンを入れた所好評だったため、採用した。
5.黄泉に行って尚~

ここからサビ?に行くぞというタイミングなのでBCCリスペクトに回帰。
6.█ぬも~

残り時間が短い中なんとかひねり出したパート。
7.実写パート

この動画内で一番手間(と金)が掛かったパート。
「絵画風エフェクト」や「漫画風エフェクト」といったプラグイン・エフェクトによって様々な表現がありふれて陳腐なものになった中、敢えてリアル・アナログで作ってやろう、というアイデアに基づいたシーン。
「可能な限り様々な表現技法で作ろう」というコンセプトです。
素材 | 技法 | コメント |
---|---|---|
胡桃 | 油彩カンバス | 人生初の油彩画だったが、存外上手くいった。図書館の書籍とChatGPTの丁寧な教えの賜物だろう。 |
トール(小林さんちのメイドラゴン) | ポスターカラー | これも初めて扱う画材。色鮮やかで使いやすかった。 |
NASU | 黒カンバスにマーカー | |
BadApple | 半紙に墨 | |
刀語 | 黒カンバスに糸 | 糸を切っては貼っての繰り返し。ボンドで貼り付けたが手間取った。 |
お腹すいた犬 | 切り紙 | |
うぽっての箱 | 市販の箱に白マーカー | |
魔女の旅々 | 液晶モニターに映した |
本当は版画(石版画木版画)だとかシルクスクリーンにも挑戦したかったが、時間と予算の都合で断念した。
このシーンの作成のために家と画材やを何往復したか分からない。




作成途中の風景をば。
このシーンは自宅では撮影することは不可能なため、撮影スタジオ(埼玉県内某所)を一日借り、そこで撮影を行った。

冒頭で実写でカチンコを切っていたのはこのシーンの伏線でした。
余談だが、このシーンに掛かった費用は約22,000円程度である。
- アウトロ

ここもBCCリスペクト。
東京会場ではボーカル一覧がぎゅっと圧縮される所で歓声が上がっていたので、作者冥利に尽きる、と言う感じだ。
まとめ
本動画ですが、フロクロさんにも(配信経由で)見ていただけたらしく、嬉しかった。一応勝手に作ってる身分なので自分から向こうになにかアクションを取ることはしなかったが、見てもらえたようで嬉しいです。
本イベントでは、中々出来ない体験をさせてもらいました。主催の捻挫他関係者に感謝します。
以上。
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